「よく食べることは、強くなるための“トレーニング”です。」
成長期の女の子は、体が大きく変化する時期でありながら、スポーツの練習量も増えていきます。
最近では、エネルギー不足が原因で「鉄不足」「代謝の低下」などが起こり、調子を崩すケースも報告されています。
今回紹介する最新研究は、その改善には“しっかり食べること”がどれほど大切かを示しています。
研究が示したのは「食べることで体の不調は改善する」という事実
この研究は、日本の女子長距離ランナー6名を対象に、6週間の食事介入を行ったものです(引用元:Taguchi et al., 2025/International Journal of Sports Science & Coaching)。
測定には、普段の生活のままでも正確にエネルギー消費量がわかる「二重標識水法(DLW法)」が用いられました。
結果として、以下の改善が確認されました:
- 毎日約−548kcalだったエネルギー不足がほぼ解消
- 炭水化物摂取量が推奨量以上に改善
- 6人中5人が抱えていた「鉄不足」が改善または回復傾向
- 代謝の落ちていた選手の“基礎代謝(RMR)”が正常値に回復
- ストレスホルモン「コルチゾール」も低下
つまり、「必要な分をしっかり食べるだけで、体の健康が大きく回復した」というシンプルで重要な結論が得られました。
なぜ「エネルギー不足」が鉄不足や体調不良を招くのか?
ジュニア期を含む女性アスリートは、練習量が増える一方で、成長・生理・体の発達にも多くのエネルギーを必要とします。
研究でも説明されているように、
エネルギー不足が続くと「ヘプシジン」という鉄の吸収を妨げるホルモンが上昇することがあります(引用元:Peeling et al., 2014)。
その結果、食事で鉄をとっていても体に吸収されず、「隠れ鉄不足」が起こってしまうのです。
加えて、エネルギー不足は
- 代謝低下(体が省エネモードになる)
- 月経不順
- 骨の発達不全
にもつながることが過去の研究からも報告されています。
“炭水化物不足”がパフォーマンスを落とす理由
今回の研究で特に改善が大きかったのが「炭水化物摂取量」です。
推奨量は 体重1kgあたり7g以上/日。
長距離ランナーだけでなく、走る量・練習量の多いテニスジュニアにも当てはまる目安です。
炭水化物(ごはん・パン・麺など)は、運動時の「ガソリン」。
不足すると、
- すぐ疲れる
- 集中力が落ちる
- ケガが増えやすい
- イライラする
といった変化につながることがあります。
ジュニア期で気を付けたい“3つのポイント”
研究結果はあくまで女子長距離選手を対象としたものですが、さまざまなジュニアスポーツの現場でも共通するヒントがあります。
① “見た目が細い=良い”とは限らない
食べる量が少ない子は、実は「隠れたエネルギー不足」に陥りやすく、代謝が低下してパフォーマンスが安定しません。
② 炭水化物は「しっかり」。特に朝食がカギ
研究でも朝・夜の適切なメニュー提供が効果的でした。
テニスの朝練・部活がある子は、とくに朝食でごはん・パンなどの主食を抜かないことが大切です。
③ スナック(補食)は“弱点を補う味方”
練習量の多い子ほど、3食だけではエネルギーが足りません。
おにぎり、果物、ヨーグルトなどの「小さなエネルギー補給」が、結果的に鉄不足や疲労の予防につながります。
保護者ができる“今日からの一歩”
- 朝食に主食+たんぱく質+果物を1つ加える
- 練習のある日は「おにぎり1個」を補食として持たせる
- 生理が遅れたり、疲労が続くときは早めに相談
-「たくさん食べなさい」ではなく、**“小分けに食べれば大丈夫だよ”**と声かけ
研究でも、週1回の栄養アドバイスが大きな支えになったとされています。
ご家庭でも、「体がよく動くための食べ方」を一緒に探す姿勢が、ジュニア期の健康を守る力になります。
まとめ
今回紹介した研究は、アスリートにとって「食べること」がどれだけ重要かを改めて示したものです。
体を動かし、成長し、大きな負荷に挑むジュニア期だからこそ、“十分なエネルギーをとる”ことが最大のサポートになります。
無理なく、楽しく、おいしく。
そんな食習慣が、未来のパフォーマンスを支えていきます。
引用元
Taguchi, M., Ishizu, T., et al. (2025). Energy intake to meet total energy expenditure improves iron deficiency and metabolic suppression in female long-distance runners: A case series study with dietary intervention. International Journal of Sports Science & Coaching.(引用元リンク:https://doi.org/10.1177/17455057251385372)

