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ジュニアアスリートの怪我を3割減らす─2024年最新レビュー研究が示す「本当に効果のあるトレーニング対策」

ジュニアサッカー選手が足を痛めている写真

2024年にAnnals of Medicine誌で発表された、ヨーロッパを中心とした21本・約1万8千人のジュニアアスリートを対象とする最新の国際レビュー研究では、練習前の10〜20分の怪我予防トレーニングが怪我の発生を平均35%減らすことが示されました。

本コラムでは、この最新エビデンスに基づき、保護者とコーチがすぐに取り入れられる“科学的な怪我予防”のポイントを解説します。

目次

なぜ怪我予防が“最優先課題”なのか

成長期の選手は、身体能力が急速に伸びる一方で、骨・筋・腱の成長スピードがアンバランスになりやすく、怪我のリスクが大人より高くなります

最近の調査では、下記が分かりました。

ジュニア年代の約40〜50%が1年間で何らかの怪我を経験(Rössler ほか)
・特に多いのが、足首・膝・太ももなどの下肢の怪我
・怪我による離脱は、競技力の停滞・自信の低下・早期ドロップアウトにつながる

さらに競技レベルの加速、早期専門化、過密スケジュールなど“現代スポーツ特有の環境”が怪我リスクを押し上げています。

ただし、今回の最新研究は私たちに明確な希望も示しました。

「怪我は“運”ではなく、“トレーニングの工夫”で確実に減らせる」ということです。

2024年国際レビュー研究が示した「怪我予防の核心」

Robles-Palazón らの2024年研究は、これまでで最も包括的なジュニアアスリートの怪我予防分析の一つです。

【研究の特徴】

21本の介入研究をまとめた体系的レビュー+ネットワークメタ分析

  • 対象:19歳以下のサッカー、バスケ、ハンドボール、ラグビーなどのチームスポーツ
  • 総数:18,305人
  • 検証したプログラム:筋力、安定性、柔軟性、プライオメトリクス、スピード&アジリティなど

【結論】

怪我予防プログラム(iPP)は、怪我発生率を平均35%減らす。

特に以下の3要素が最も効果的だったと報告されています。

怪我予防に効いた3大トレーニング要素

怪我予防最大に効果を発揮した3つのトレーニングをご紹介します。

① 筋力トレーニング(Strength)

研究の中でも特に効果が高かった要素で、70%近く怪我を減らした例もあるほど。

  • 体幹・股関節・太もも周りの強化が、
    → 着地時の膝ブレ
    → 切り返し時の不安定性
    など“怪我につながる典型的な動作”を改善
  • 重い器具は不要。スクワット・ランジ・ヒップヒンジなど基礎動作で十分

② 柔軟性トレーニング(Flexibility)

  • 成長期は骨が先に伸び、筋の柔軟性が追いつかない「成長痛リスク」が高い
  • 静的ストレッチ(30秒以上)や動的ストレッチの継続により怪我リスクが有意に低下

③ 安定性トレーニング(Stability)

  • 片脚バランス、プランク、動作中の体幹安定化など
  • 下肢の典型的な怪我(膝の内側倒れ=ニーイン)を防ぐ鍵
  • 多くの研究で「怪我予防の中核」と評価

良いプログラムに共通していた5つのポイント

2024年研究には、効果の高いプログラムに共通する特徴がありました。

1)練習の“最初”に行う

ウォームアップに組み込むことで効果が大幅に上がる。

2)10〜20分程度で完結

長すぎず、チームでも継続しやすい時間設定。

3)週2〜3回以上の実施

頻度が多いほど、怪我リスクは比例して低下。

4)難易度が徐々に上がる(進行性負荷)

例:片脚バランス → 動きを加える → 不安定面を使う
「慣れたら終わり」ではなく、継続的に負荷が上がるのが重要。

5)指導者がフォームをチェックする

特に着地動作は正しいフォームで行うかどうかで効果が大きく変わる

今日からできる「怪我予防ウォームアップ(例)」

保護者やコーチが今日からできる怪我防止のためのウォームアップ例をご紹介します。

◎ 1. 神経活性(2分)

  • 軽いジョグ
  • スキップ/サイドステップ

◎ 2. 可動域づくり(3分)

  • ダイナミックストレッチ(股関節・足首・太もも)

◎ 3. 基礎筋力(5分)

  • スクワット10回
  • ランジ左右各10回
  • グルートブリッジ15回

◎ 4. 動作安定(5分)

  • 片脚バランス+上半身動作
  • ジャンプ→着地のコントロール(膝が内側に入らない)

チームでこのメニューを10〜15分行うだけでも、怪我リスクは確実に下がります。

思春期の選手が怪我しやすい“3つの理由”

深く理解したい方向けに、成長期特有のリスクも補足します。

① 身長の急激な伸び → 筋の柔軟性不足

特に膝や足首の怪我が増える。

② 技術レベルの向上に対して身体が追いつかない

スピードが上がるほど、接触・着地・切り返しで怪我が起こりやすくなる。

③ 過密な練習スケジュール

疲労蓄積は怪我リスクを2倍以上にする研究もある。

このため、怪我予防は競技力向上と同じくらい重要な“基礎トレーニング”と言えます。

怪我予防は「習慣化」できれば、競技人生を大きく変える

今回の最新研究は、

「怪我予防トレーニングを数週間継続するだけで、怪我のリスクは約1/3に減らせる」

という強力なメッセージを示しました。

怪我が少ない選手ほど、

  • 練習量が確保でき
  • 成長のスピードが速く
  • 自信を持ってプレーでき
  • 長くスポーツを続けられます

つまり怪我予防は、
“未来の競技力を底上げする最も合理的な投資”
とも言えます。

保護者とコーチが協力し、子どもたちの身体を守りながら成長を支える
──その一歩が、今日の10分から始まります。

参考文献

Robles-Palazón FJ, et al. (2024). A systematic review and network meta-analysis on the effectiveness of exercise-based interventions for reducing the injury incidence in youth team-sport players. Part 1. Annals of Medicine.

Soligard T, et al. (2008). Comprehensive warm-up programme to prevent injuries in young female footballers. BMJ.

Rössler R, et al. (2016). Epidemiology of youth soccer injuries. JSHS.

その他本文中に引用した実在論文。

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この記事を書いた人

世界で活動するジュニアアスリートを子どもに持つ父親。

広告・PR会社に勤務。国家資格「キャリアコンサルタント」を有し、スポーツキャリアに関する取材を展開。

4万部の情報誌『エンタメニュース』で「キャリア教育を受けていない大人たちへ」を連載中。「キャリアタイムズ」の編集長を務める。

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