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ジュニアアスリートのメンタルを支える「社会的サポート」:家族・友人の力が特に重要である理由

ジュニアアスリートを支える社会サポート

今回、スイスの学術出版社が発行している学術誌「Frontiers in Psychology」 に掲載された最新メタ分析(Luo et al., 2025)をもとに、「社会的サポートがアスリートの不安・ストレス・抑うつを確実に下げ、ウェルビーイングを高める」という研究結果をわかりやすく紹介します。

特に、家族や友人からのサポートが抑うつ軽減に最も効果的である点は、ジュニアアスリートの支援に大きな示唆を与えます。

目次

社会的サポートはメンタルの“土台”になる

アスリートは、練習負荷・競技成績のプレッシャー・けがの不安など、日常とは異なるストレスにさらされています(Haugen, 2022)。そのため、周囲からの支え=社会的サポートは、ストレスの緩衝材として特に重要です(Cohen & Wills, 1985)。

メタ分析(Luo et al., 2025)によると、社会的サポートは、

  • ウェルビーイングの向上(r = 0.31)
  • 不安の低下(r = −0.22)
  • ストレスの低下(r = −0.25)
  • 抑うつ症状の低下(r = −0.27)

と、メンタル全般に良い影響をもたらすことが明らかになっています。

※本記事の研究では「相関係数(r)」という指標を使用しています。
r は −1〜+1 で示され、0に近いほど関係が弱く、0.3前後は“明確な関係あり”と解釈します。

特にウェルビーイング向上効果は「中程度」、不安・ストレス・抑うつは「小〜中程度」の効果で、競技レベルや性別を問わず一貫して確認されました。

家族・友人のサポートが「抑うつ」に最も効く

論文の大きな発見は、抑うつ症状への影響は“家族・友人のサポート”が最も強かったという点です。

チームサポート(コーチ・チームメイト)

  • 競技面で役立つ
  • ストレスや不安の軽減に効果
  • しかし抑うつ症状への直接的な影響はやや弱い

家族・友人サポート

  • 競技外の生活も含めて支える“安定した関係性”
  • 失敗・スランプ・けがの長期化などで落ち込みが続く際に強い効果
  • 抑うつとの関連がチームサポートより明確に強い(p < 0.01)

ジュニアアスリートの場合、競技と生活が密接に結びついているため、家族・友人の存在が「安心基地」として働きやすいことが考えられます(推測)。

そのため、保護者や周囲の大人の関わり方がメンタルに大きく影響します。

今日からできる“社会的サポートの強め方”

メタ分析から得られた知見を、ジュニアアスリートの環境づくりに活かすためのポイントは以下の通りです。

① 家族・友人が「話を聴く時間」を確保する

  • 競技の話だけでなく、学校・友人関係・将来の不安を含めて
  • アドバイスより“共感”を優先(Mira et al., 2023)

② コーチやチームで「心理的に安全な雰囲気」を

  • ミスに対して罰ではなくフィードバック
  • 情報共有や声かけを増やす(Coussens et al., 2025)

③ サポート源を“ひとつに偏らせない”

家族だけ、コーチだけ、チームだけではなく、
複数のサポート源を持つほどメンタルが安定しやすいという知見が体系的に支持されています(Stevens et al., 2024)。

④ メンタルの状態を定期的に“言語化”する

簡易なメンタルチェック(不安・疲労感・気分)を習慣化することで、早期の気づきにつながります。


結論:選手を支えるのは「技術指導」だけではない

40研究を統合した本メタ分析(Luo et al., 2025)は、
「社会的サポートはアスリートのメンタルヘルスを守る最重要要素の一つ」
であることを明確に示しました。

特に、

  • 家族・友人 → 抑うつへの防護作用が強い
  • チーム → 不安・ストレスを下げ、ウェルビーイングを保つ

という役割の違いは、ジュニアアスリートの支援体制を考えるうえで大きな示唆となります。

「誰が、どのように支えるか」を意識することで、選手は安心して競技に取り組み、成長の土台を築きやすくなります。


参考文献(主要)

Luo, J., Du, R., Wang, X., & Luo, L. (2025). The relationship between social support and mental health in athletes: A systematic review and meta-analysis. Frontiers in Psychology, 16, 1642886. https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2025.1642886/full

Cohen, S., & Wills, T. A. (1985). Stress, social support, and the buffering hypothesis. Psychological Bulletin, 98, 310–357.

Haugen, E. (2022). Athlete mental health & psychological impact of sport injury. Operative Techniques in Sports Medicine, 30, 150898.

Stevens, M., Cruwys, T., Olive, L., & Rice, S. (2024). Understanding and improving athlete mental health: A social identity approach. Sports Medicine, 54, 837–853.

Mira, T. et al. (2023). Social support, resilience, and well-being in adapted sport athletes. Frontiers in Psychology, 14, 1266654.

Coussens, A. H. et al. (2025). Coach–athlete relationships and psychological wellbeing. European Journal of Sport Science, 25, e12226.

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この記事を書いた人

世界で活動するジュニアアスリートを子どもに持つ父親。

広告・PR会社に勤務。国家資格「キャリアコンサルタント」を有し、スポーツキャリアに関する取材を展開。

4万部の情報誌『エンタメニュース』で「キャリア教育を受けていない大人たちへ」を連載中。「キャリアタイムズ」の編集長を務める。

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